設立趣意書

 リオデジャネイロ五輪・パラリンピックでは、各競技種目の選手らが大いに活躍し、スポーツの素晴らしさと価値を社会に改めて深く認識させてくれました。平成32(2020)年には、56年ぶり二度目の東京五輪・パラリンピックが開催されます。その日に向けて、選手強化、施設整備、運営体制の形成、ボランティアの育成等、関係者により様々な準備の取り組みが着実に行われています。
 その一方、スポーツ選手・競技団体に関わる不祥事・社会的事件が頻発し、スポーツそのものの価値が損なわれ、スポーツ界への信頼が揺らぎ、2020年東京五輪・パラリンピックへの期待と希望が損なわれるような状況が生まれています。とりわけ、その背景として、競技団体のガバナンス(組織統治)の不備が指摘されています。
 本来スポーツは、一定のルール/規則の下にフェアプレイ精神に則って行われ、選手らがそれぞれの勝利と成功に向かってひたむきに精進・努力するからこそ、社会的・教育的価値があります。「果敢なる闘士であればあるほど、潔い敗者であれ」の言葉に象徴されるように、勝負や競技が終わり、結果が出されれば、お互いの健闘ぶりを讃え合う高潔な姿勢があるからこそ、人々はスポーツに魅了され支援し続けるのでしょう。
 しかし、現在、日本のスポーツ界では違法行為や一般社会のコンプライアンス違反とされるような事案が連続して発生しており、ルール/規則を守る、フェアプレイ精神を守る、高潔性を守る、そしてスポーツそのものを守ることが困難になっていると言わざるを得ません。IOC(国際オリンピック委員会)の提示した「オリンピック・アジェンダ2020オリンピック・ムーブメントの未来を形作る20+20の提言」には、「31. コンプライアンスの徹底」が明確に記載されています。日本のスポーツ界として、この提案に即して現状を打開し、「クリーンなスポーツ」を世界に発信するためには、具体的対策を講ずることは、喫緊の課題なのです。
 「予防に勝る治療はない」とされるように、今こそ、教育という手段と方法により、スポーツ界のコンプライアンスを徹底し、社会的事件・不祥事の発生を予防しなければなりません。一人ひとりの選手・競技団体が、社会規範と法律を尊守し、スポーツの価値をさらに高めるため、その教育体制を構築し、更生プログラムの立案も念頭に置きつつ、競技団体のガバナンスの一層の充実・強化を図ることが求められています。日本政府も、スポーツ界のコンプライアンスの強化に乗り出し、平成29(2017)年度に、文部科学省(スポーツ庁)による「スポーツ界のコンプライアンス強化事業」(政府予算案20,170千円)が打ち出されています。
 こうした背景や動向を踏まえ、スポーツ庁の指導の下、2020年東京五輪・パラリンピックを見据えて、今般、下記の概要のスポーツ・コンプライアンス教育に関わる新たな組織を発足致しました。趣旨をご賢察の上、今後の運営に関わり、特段のご支援・ご協力を賜わります様、何卒宜しくお願い申し上げます。